高密度焦点式超音波(HIFU)を用いた前立腺がんの局所焼灼・凝固療法

👉HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)は、前立腺がんに対して「切らない治療」として用いられる局所焼灼・凝固療法です。高エネルギー超音波を前立腺内の一点に集中させ、その部位だけを80〜100℃に加熱し、がん細胞を選択的に壊死させます。

HIFUのしくみ

・体外から前立腺へ高密度の超音波を照射
・焦点にのみ熱が集中し、周囲組織へのダメージは最小限
・照射部分は瞬間的にタンパク凝固し壊死

前立腺外へは届きにくいため、局所がんに適した治療です。

適応となる前立腺がん

✔ 低リスク〜中間リスクがん
✔ 前立腺内に限局しているがん(T1〜T2)
✔ 手術や放射線を望まない、または適応外の患者

HIFU単独、またはホルモン療法との併用が行われることがあります。

HIFUのメリット

・皮膚切開なし、出血ほぼなし
・治療時間が比較的短い(1〜3時間)
・入院期間が短い(1〜3日)
・術後の回復が早い
・直腸・尿道へのダメージが少ない

デメリット・注意点

・前立腺が大きすぎると照射困難
・がんの位置により効果が限定される場合あり
・再発の可能性は手術より高め
・尿閉、排尿困難が一定割合で起こる

効果・再発率(概ねの臨床データ)

・生化学的無再発率(PSA基準):約60〜75%(5年)
・局所再発:10〜30%
・必要に応じて追加HIFU治療が可能

手術・放射線より再発率はやや高めだが、身体への負担は最小。

まとめ

HIFUは前立腺がんの中でも「局所だけを狙う・体への負担が少ない」治療として有力です。
ただし、全摘手術より再発率はやや高い傾向があり、定期的なPSA測定が必須です。