IMRT(強度変調放射線治療)とは
前立腺がんに広く適用
精密照射で正常組織を保護
概要(ひとことで)
IMRTは、放射線の強さと形を細かく調整し、腫瘍には高線量を、周囲の正常臓器(膀胱・直腸)には低線量となるよう最適化する外照射放射線治療です。
前立腺がんでは根治治療の標準選択肢で、しばしばホルモン療法(ADT)を18〜36か月併用します(高リスク例)。
前立腺がんでは根治治療の標準選択肢で、しばしばホルモン療法(ADT)を18〜36か月併用します(高リスク例)。
対象になりやすいケース
- 限局〜局所進行の前立腺がん(T1〜T3)
- 術後の断端陽性・PSA再発に対する補助/救済照射
- 骨盤リンパ節照射を含めた広域照射が必要な高リスク例
治療の流れ
1. 位置決めCT/MRI
治療体位で撮影し、前立腺・膀胱・直腸・腸管等を輪郭抽出。
2. 計画(最適化)
目的線量(例:74〜80Gy)を満たしつつ、臓器の耐用線量を守るよう逆方向計画で最適化。
3. 照射(外来)
平日1回/日、1回約10〜20分。全体で約7〜8週(35〜39回)が一般的。短期分割(60Gy/20回前後)も施設により可。
長所と短所
| 長所 | 短所 |
|---|---|
|
・直腸・膀胱への線量を抑えやすい ・高線量投与が可能 → 根治率向上に寄与 ・外来で通院可、侵襲が少ない |
・通院回数が多い(通常7〜8週) ・一時的な排尿/直腸症状が出やすい ・前立腺の動き対策(膀胱充満・腸ガス管理)が必要 |
想定線量・併用(目安)
| リスク層 | 照射の例 | ADT併用の目安 |
|---|---|---|
| 低〜中間リスク | 前立腺部 74〜80Gy / 37〜40回 または短期分割 60〜62Gy / 20回前後 |
なし〜6か月 |
| 高リスク | 前立腺±精嚢(±骨盤LN)IMRT | 18〜36か月のADT併用が標準 |
| 術後補助/救済 | 前立腺床 64〜70Gy 程度 | 病理・PSAにより検討 |
副作用(頻度は施設・線量で異なる)
急性期(治療中〜数週)
- 頻尿・排尿痛・尿勢低下
- 直腸刺激(下痢・少量出血)
- 倦怠感・軽い皮膚炎
晩期(数か月〜数年後)
- 直腸出血・狭窄(まれ)
- 排尿障害の遷延(まれ)
- 性機能低下(ADT併用の影響も)
SBRT/3D-CRTとの違い(要点)
| 方式 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| IMRT | 強度を細かく変え最適化 | 正常臓器保護に優れ標準的 |
| SBRT(定位照射) | 大線量を少回数(例5回) | 通院短縮。適応や施設基準に注意 |
| 3D-CRT | 三次元原体照射 | IMRTより正常臓器線量が高くなる傾向 |
当日のコツ(前立腺の動きを減らす)
- 膀胱を適度に貯める:指示量の水を照射30〜60分前に飲む
- 直腸内ガスを減らす:食物繊維・発酵食品のとり方を調整、必要なら整腸剤
- 毎回、同じ体位・同じ準備ルールを守る
よくある質問
Q. 仕事は続けられる?
A. 多くの方が外来通院で両立しています。疲労が強い日は無理をしないで。
Q. 痛い?金属は必要?
A. 照射自体は無痛。一部施設で金マーカー留置を行うことがあります。
Q. 手術とどちらが良い?
A. 再発率・副作用プロファイル・生活スタイルで比較。高リスクではIMRT+ADTが標準の一つです。
A. 多くの方が外来通院で両立しています。疲労が強い日は無理をしないで。
Q. 痛い?金属は必要?
A. 照射自体は無痛。一部施設で金マーカー留置を行うことがあります。
Q. 手術とどちらが良い?
A. 再発率・副作用プロファイル・生活スタイルで比較。高リスクではIMRT+ADTが標準の一つです。
まとめ
IMRTは根治を目指せる精密外照射。正常臓器を守りつつ十分な線量を腫瘍に投与できます。
高リスクではADT併用が鍵。通院や副作用対策を早めに共有し、自分に合う計画を主治医と作りましょう。
高リスクではADT併用が鍵。通院や副作用対策を早めに共有し、自分に合う計画を主治医と作りましょう。
※本ページは一般的な医療情報の要約です。線量・分割・併用療法・適応は施設や個別状況で異なります。必ず主治医の指示に従ってください。