癌の種類
主要ながんを部位別に整理し、発生頻度・リスク要因・症状の傾向・検査（腫瘍マーカー/画像/病理）を実務メモ風にまとめました（一般向け簡潔表現）。
部位別（主要ながんの概観）
| 領域 |
主な臓器 |
代表的ながんの例 |
主な組織型 |
| 口腔・咽頭 | 口唇・舌・口腔、咽頭 | 口腔/咽頭がん | 扁平上皮癌 |
| 消化管（上部） | 食道、胃 | 食道がん、胃がん | 食：扁平上皮/腺、胃：腺癌 |
| 消化管（下部） | 結腸・直腸・肛門 | 大腸がん | 腺癌 |
| 肝・胆・膵 | 肝臓、胆嚢・胆管、膵臓 | 肝細胞がん、胆道がん、膵がん | 肝細胞癌、胆管癌、膵管腺癌 |
| 呼吸器 | 肺、気管支 | 肺がん（非小細胞/小細胞） | 腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌 等 |
| 乳腺 | 乳房 | 乳がん | 浸潤性乳管癌 など |
| 婦人科 | 子宮頸・体、卵巣 | 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん | 扁平上皮/腺、内膜癌、上皮性腫瘍 等 |
| 泌尿器 | 腎臓、腎盂・尿管・膀胱、前立腺 | 腎がん、膀胱がん、前立腺がん | 腎細胞癌、尿路上皮癌、腺癌 |
| 内分泌 | 甲状腺、副腎 | 甲状腺がん 等 | 乳頭/濾胞/髄様/未分化 |
| 皮膚 | 皮膚 | 皮膚がん、悪性黒色腫 | 基底細胞癌、扁平上皮癌、メラノーマ |
| 頭頸部 | 鼻副鼻腔、喉頭、唾液腺 | 喉頭がん 等 | 扁平上皮癌 他 |
| 中枢神経 | 脳・脊髄 | 膠芽腫、髄膜腫 等 | 神経膠腫 など |
| 骨・軟部 | 骨、筋・脂肪・結合組織 | 骨肉腫、脂肪肉腫 等 | 各種肉腫 |
| 血液・造血 | 血液・リンパ系 | 白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫 | 造血器腫瘍 |
| 小児・若年 | 小児特有 | 神経芽腫、腎芽腫 等 | 胚細胞腫瘍、肉腫 等 |
※「概観」は見取り図です。各臓器で複数の組織型が存在します。
拡張情報（頻度・リスク・症状・検査）
頻度の目安：高国内で比較的多い／中中等度／低比較的少ない（年代・性別で変動）。
大腸がん 頻度：高
| リスク要因 | 年齢、家族歴/遺伝性腫瘍（FAP/Lynch）、高脂肪食・加工肉、肥満、飲酒、喫煙、慢性炎症（潰瘍性大腸炎 等） |
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| 症状の傾向 | 便通変化、血便/暗赤色便、体重減少、貧血、腹痛・腹部膨満（無症状も多い） |
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| 検査 | 便潜血→内視鏡（生検）、CT/造影、腫瘍マーカー：CEA、一部でCA19-9；確定は病理 |
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胃がん 頻度：中〜高
| リスク要因 | ピロリ感染、塩分過多、喫煙、家族歴、萎縮性胃炎/腸上皮化生 |
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| 症状の傾向 | 食欲低下、心窩部痛、早期は無症状、進行で貧血・体重減少 |
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| 検査 | 内視鏡＋生検、造影CT、腫瘍マーカー：CEA/CA19-9；病理で分化型/未分化型など評価 |
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食道がん 頻度：中
| リスク要因 | 喫煙・飲酒、熱い飲食、バレット食道（腺癌）、男性、栄養不良 |
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| 症状の傾向 | つかえ感、嚥下困難、体重減少、嗄声 |
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| 検査 | 内視鏡＋生検、造影CT/PET、EUS（深達度）、マーカーは補助的（SCC抗原 など） |
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膵がん 頻度：中（致死率高）
| リスク要因 | 高齢、喫煙、糖尿病/急な糖代謝異常、慢性膵炎、家族歴、肥満 |
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| 症状の傾向 | 背部痛、体重減少、黄疸、食欲低下（早期無症状が多い） |
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| 検査 | 造影CT/MRI、EUS-FNA（穿刺生検）、ERCP、腫瘍マーカー：CA19-9、CEA；確定は病理 |
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肝細胞がん 頻度：中
| リスク要因 | B型/C型肝炎、脂肪肝炎(NASH)、アルコール性肝障害、肝硬変 |
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| 症状の傾向 | 右季肋部違和感、倦怠感、進行で腹水・黄疸（サーベイ対象では無症状検出も） |
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| 検査 | 造影CT/MRI、超音波、腫瘍マーカー：AFP、PIVKA-II；病理は状況により |
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胆道がん 頻度：低〜中
| リスク要因 | 胆石/胆嚢炎、原発性硬化性胆管炎、肝吸虫、一部先天性胆道拡張 |
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| 症状の傾向 | 黄疸、掻痒、右上腹部痛、発熱（胆管炎） |
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| 検査 | 造影CT/MRCP、ERCP＋ブラッシング細胞診、腫瘍マーカー：CA19-9、CEA |
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肺がん（非小細胞/小細胞） 頻度：高
| リスク要因 | 喫煙、受動喫煙、粉塵/職業暴露、年齢、遺伝背景 |
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| 症状の傾向 | 咳・血痰・呼吸困難、胸痛、無症状影（健診発見） |
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| 検査 | 胸部CT、気管支鏡/針生検、腫瘍マーカー：腺癌でCEA、扁平でSCC、小細胞でNSE/ProGRP；病理＋遺伝子変異（EGFR/ALK 等） |
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乳がん 頻度：高（女性）
| リスク要因 | 年齢、家族歴/遺伝性（BRCA等）、未産/初産年齢、ホルモン曝露、肥満 |
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| 症状の傾向 | 乳房しこり、皮膚変化、乳頭分泌、腋窩リンパ節 |
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| 検査 | マンモ/エコー→針生検、MRI、マーカー：CA15-3/CEA（経過観察で補助）；病理でER/PR/HER2/Ki-67 |
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前立腺がん 頻度：高（男性）
| リスク要因 | 年齢、家族歴、食事（動物脂肪）、人種背景 |
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| 症状の傾向 | 排尿症状（頻尿・残尿感）、進行で骨痛；早期は無症状 |
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| 検査 | PSA、直腸診、MRI（局在/PI-RADS）、系統的/標的生検（Gleason/ISUPで病理評価）、骨/CT画像 |
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腎がん 頻度：中
| リスク要因 | 喫煙、肥満、高血圧、遺伝性疾患（VHL等） |
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| 症状の傾向 | 血尿、側腹部痛、腫瘤（“三徴”は進行例、偶発発見が増加） |
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| 検査 | 造影CT/MRI、エコー、病理（腎細胞癌の亜型） |
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膀胱がん 頻度：中
| リスク要因 | 喫煙、化学物質曝露、慢性炎症、放射線歴 |
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| 症状の傾向 | 無痛性肉眼的血尿、頻尿・排尿痛 |
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| 検査 | 尿細胞診、膀胱鏡、生検、造影CT、マーカー：NMP22等は補助 |
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子宮頸がん 頻度：中
| リスク要因 | HPV感染（ハイリスク型）、喫煙、長期経口避妊薬 |
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| 症状の傾向 | 不正出血、接触出血、帯下増加（前がん病変は無症状） |
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| 検査 | 頸部細胞診/HPV検査、コルポスコピー＋生検、MRI/CT；病理で扁平上皮/腺の区別 |
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子宮体がん 頻度：中
| リスク要因 | エストロゲン単独暴露、肥満、糖尿病、未産、家族歴（Lynch） |
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| 症状の傾向 | 閉経後不正出血、過多月経 |
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| 検査 | 経腟エコー、子宮内膜生検、MRI/CT、マーカー：CA125は補助的 |
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卵巣がん（上皮性） 頻度：中
| リスク要因 | 家族歴/BRCA、未産/不妊、排卵回数増加、子宮内膜症（明細胞/類内膜） |
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| 症状の傾向 | 腹部膨満、食欲低下、腹水（早期無症状） |
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| 検査 | 骨盤エコー、造影CT/MRI、腫瘍マーカー：CA125、HE4；確定は手術/病理 |
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甲状腺がん 頻度：中
| リスク要因 | 放射線曝露、家族歴、女性に多い |
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| 症状の傾向 | 無痛性頸部しこり、嗄声、嚥下違和感 |
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| 検査 | 頸部エコー、細胞診（FNAC）、CT；マーカー：サイログロブリン（乳頭/濾胞の経過）、カルシトニン（髄様） |
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皮膚がん/悪性黒色腫 頻度：低〜中
| リスク要因 | 紫外線曝露、色白、家族歴、免疫抑制 |
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| 症状の傾向 | 新規/変化する色素斑（ABCDEルール）、出血・痂皮 |
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| 検査 | ダーモスコピー、切除生検、センチネルリンパ節、生検後の病理 |
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頭頸部がん（喉頭・咽頭・口腔） 頻度：中
| リスク要因 | 喫煙・飲酒、HPV（中咽頭） |
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| 症状の傾向 | 嗄声、嚥下痛/違和感、口内潰瘍非治癒、頸部腫大 |
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| 検査 | 内視鏡、頸部エコー/CT/MRI、針生検、病理；マーカー：SCCは補助 |
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中枢神経腫瘍（膠芽腫など） 頻度：低
| リスク要因 | 多くは不明、遺伝性症候群の関与も |
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| 症状の傾向 | 頭痛、けいれん、局所神経症状、認知変化 |
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| 検査 | MRI、開頭/針生検で病理（IDH変異、MGMTなど分子情報） |
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造血器腫瘍（白血病・リンパ腫・骨髄腫） 頻度：中
| リスク要因 | 年齢、遺伝素因、免疫不全、慢性感染（ATL/HTLV-1 等） |
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| 症状の傾向 | 発熱・倦怠、貧血/出血傾向、リンパ節腫大、骨痛 |
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| 検査 | 血液検査、骨髄検査、フロー/染色体/遺伝子解析、PET-CT（リンパ腫）、M蛋白（骨髄腫） |
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※上記は一般的傾向です。個々の診断・治療方針は病期、病理サブタイプ、遺伝子変異、全身状態などで大きく異なります。
腫瘍マーカー早見＆画像検査の使い分け
| 項目 | 代表例・使いどころ |
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| 腫瘍マーカー |
- PSA：前立腺（スクリーニング/経過観察）
- CEA：大腸・胃・肺腺などの補助（再発フォロー等）
- CA19-9：膵・胆道の補助
- AFP/PIVKA-II：肝細胞がん
- CA15-3：乳がんの補助、CA125/HE4：卵巣の補助
- SCC：扁平上皮系（頸部・肺など）の補助、NSE/ProGRP：肺小細胞
※マーカー単独で診断は不可。画像・病理と組み合わせて評価。
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| 画像検査 |
- 超音波：肝・胆・骨盤などの初期評価、甲状腺/乳腺
- 造影CT/MRI：原発巣の局在・広がり、転移検索
- 内視鏡：食道・胃・大腸の観察＋生検
- PET-CT：代謝活性の高い病変の全身検索（適応により）
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| 確定診断 | 病理（生検/手術標本）が基本。免疫染色・分子検査（EGFR/ALK、BRCA、MSI、PD-L1 等）で治療選択に直結。 |
早期発見のヒント（年代別の目安）
| 年代・性別 | 推奨の例（地域/施設の指針に従う） |
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| 50歳〜（男女） | 大腸：便潜血→内視鏡、胃：内視鏡、肺：胸部X線/CT（高リスク）、肝：肝炎既往なら定期US/マーカー |
| 40歳〜（女性） | 乳：マンモ/エコー、子宮頸：細胞診/HPV検査 |
| 50歳〜（男性） | 前立腺：PSA（説明の上で実施） |
※検診頻度・開始年齢は自治体や個人リスクで変わります。主治医と相談してください。
補足・注意
本ページは情報整理用の一般向け資料です。症状や検査値（例：PSA、Gleasonスコア等）についての評価・治療は、必ず担当医の診療に基づいてください。