Gleason 6 → 7 → 8 進行タイムライン(概念図)

ポイント:Gleasonは「悪性度」=顕微鏡所見 数値が時間で自動的に上がるわけではない
前提:Gleasonスコアは「診断時に見えたがんの顔つき」です。
年数の経過で6→7→8と必ず上がるわけではありません。「アップグレード」は、①腫瘍内の多様性(元々高悪性度の部位が小さく潜在)、②生検のサンプリング差、③生物学的進行のいずれかで起こります。

PSA倍加時間(PSADT)の目安

PSA倍加時間進行リスクの目安備考
>15か月緩徐経過観察で長期安定も
3〜15か月中等画像/再生検タイミングを調整
<3か月速い早期治療検討・精査を急ぐ

シナリオA:治療介入あり(監視→必要時に治療)

想定:Gleason 6で診断(限局・PSA低〜中)

  • 0年:Gleason 6 / PSA基準化。積極的監視(PSA・MRI・必要時生検)開始。
  • 1〜2年:多くは安定。PSADTが長ければ監視継続。
  • 3〜5年:一部で再生検により 7(3+4/4+3)へアップグレード が判明することあり。
  • 5〜10年:治療介入(手術/放射線)で局所制御すれば、高悪性度・転移を抑えやすい
  • 10年〜:監視群の多くは転移なしで経過(個人差)。

※監視下でのアップグレードは「進化」だけでなく「見つけ方の違い」も関与します。

シナリオB:無治療/受診遅延(高悪性度が潜在)

想定:初期評価が不十分 or 受診遅延

  • 0年:軽度PSA上昇(例:4〜7 ng/mL)。画像・生検未実施。
  • 1〜3年:PSAが徐々に上昇、PSADTが短縮すると 局所進行 の可能性。
  • 2〜5年:再評価で Gleason 7、あるいは最初から存在していた高悪性度が見つかり8と判明。
  • 3〜7年:治療介入が遅れるほど、リンパ節/骨への転移リスクが増大(個人差大)。

※「Gleason 8になった」というより、初期から8が潜在していたが後で確認されたケースが多いです。

「アップグレード」が起きる主な理由

腫瘍の多様性(ヘテロジニティ)

  • 同じ前立腺内に、Gleason 6と8が混在し得る。
  • 初回生検で6だけ採れて、後の生検で8が見つかる。

サンプリング差・診断技術

  • 系統的生検では取り逃しが一定割合で起こりうる。
  • MRI標的生検の導入で高悪性度の検出感度が上昇。

進行を抑える鍵(一般的)

・定期的なPSA測定(PSADTを把握)/MRI併用の再評価
・必要時の再生検(MRI標的+系統的)
・リスクに応じた適切なタイミングでの治療介入(手術/放射線/ホルモンなど)
・抗炎症的な生活(体重管理・運動・食事・睡眠)

あなた向けメモ欄

・直近PSA:______ 倍加時間(概算):______
・直近MRI/生検日:______ 結果:______
・主治医からの方針:______

※本資料は教育目的の概念図です。実際の経過は個人差が大きく、治療歴・年齢・合併症・腫瘍量などで変わります。
最終判断は主治医の説明・推奨に従ってください。

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