前立腺がん 全摘後のスケジュール

対象:前立腺全摘(開腹/腹腔鏡/ロボット) 想定:合併症なしの標準経過
まずは注意:病院や術式・個人差で指示は異なります。必ず主治医の指示を最優先してください。本表は一般的な目安です。

0〜2週:入院〜退院直後

入院日〜術後

  • 術当日:弾性ストッキング・早期離床、痛みコントロール
  • 術後1〜2日:歩行開始・呼吸リハ、飲水/食事を段階的に再開
  • 術後1〜3日:ドレーン抜去(状況により)

尿道カテーテル

  • 通常 術後7〜10日で抜去(病院の方針で前後)
  • 抜去前:管のトラブル/発熱に注意
  • 抜去後:排尿日誌をつける(失禁量・回数)

退院の目安

  • ロボット/腹腔鏡:術後 5〜10日
  • 開腹:術後 7〜14日
  • 創部は清潔に、重い荷物は不可(10kg超NG

2〜6週:自宅回復期

骨盤底リハ(尿失禁対策)

  • 術前〜術後すぐに開始可:骨盤底筋(Kegel) 1回10収縮×1日3セット
  • 理学療法(PT)紹介があれば受診
  • 夜間のパッド使用は段階的に減らす

活動レベル

  • 歩行は毎日:最初は10〜20分、週ごとに+10分
  • 自転車/腹圧が強い運動は 4〜6週以降
  • 車の運転:痛み止めが不要で反応良好なら 2〜3週で可(要主治医判断)

6週〜3か月:外来フォローと社会復帰

病理結果説明

  • 術後 2〜4週:病理最終報告(断端/リンパ節/病期)
  • 補助療法(放射線/ホルモン)の要否を検討

PSAモニタリング

  • 最初のPSA:術後 6〜8週 で測定
  • 以降:3か月ごとに測定(初年〜2年)
  • 目標:測定感度未満(例:<0.1 ng/mL)を維持

仕事復帰

  • デスクワーク:2〜4週で段階復帰
  • 肉体労働:6〜8週以降で主治医と相談
  • 長時間座位はこまめに立って歩く

勃起機能リハビリ(EDリハ)

神経温存の有無・年齢等で回復は大きく異なります。以下は一般的な選択肢。必ず医師に処方・可否確認を。
方法開始目安ポイント
PDE5阻害薬(シルデナフィル等) 術後 2〜4週以降 低用量から。心疾患/硝酸薬併用は厳禁。
陰圧式デバイス(VED) 4〜6週以降 陰茎組織の萎縮予防。痛み/出血があれば中止。
局所療法(PGE1自己注射/坐薬) 主治医判断 指導下で安全に。合併症に注意。

食事・生活(創部/尿失禁/便秘対策)

食事

  • 高たんぱく・抗炎症食(魚・大豆・野菜・全粒)
  • 便秘回避に水分・食物繊維(下剤は医師指示通り)
  • アルコールは創部回復まで控えめ

創部・衛生

  • シャワーは医師OK後、清潔・乾燥を保つ
  • 入浴(湯船)は多くが 1〜2週以降
  • 赤み・腫れ・膿・発熱は受診

持ち上げ制限

  • 〜2週:2〜3kgまで
  • 〜6週:5kgまで
  • 6週以降:徐々に拡大(痛み/ふらつきがなければ)

危険サイン(要受診)

  • 38℃以上の発熱/悪寒、創部の強い発赤・膿・開き
  • 血尿が濃くなる/血の塊が続く、排尿困難・閉塞感
  • ふくらはぎの腫れ・痛み・息切れ(血栓/肺塞栓の疑い)
  • コントロール不能な痛み、急激な腹部膨満

外来フォロー・検査の目安

時期内容目的
術後 2週創部確認・病理速報/ケア指導・必要に応じ抜糸術後合併症の早期発見
術後 6〜8週初回PSA、病理最終確認、禁制/ED相談治療効果判定・補助療法検討
〜2年PSA 3か月ごと、症状評価生化学的再発の監視
2〜5年PSA 6〜12か月ごと長期フォロー

個別メモ欄(主治医指示を書き込む)

・退院時の運動制限:_______________________
・創部管理/入浴開始:_______________________
・カテーテル抜去予定:______________________
・初回PSA測定日:________________________
・骨盤底PT予約:_________________________
・EDリハ方針(薬/デバイス):__________________

※この資料は教育目的の目安です。症状や治療歴(放射線・ホルモン併用など)により時期は前後します。
気になる症状があれば受診をためらわないでください。