アルテミシア・アヌア(Artemisia annua)

英名:Sweet wormwood/Annual wormwood|和名:クソニンジン|属:ヨモギ属(キク科)

👉一年草 強い芳香(カンファー様) 高さ:0.5〜2 m 花期:8〜10月(黄緑色の小花) 主な利用部位:葉・茎先端(開花前)

基本情報

学名Artemisia annua L.
和名/別名クソニンジン(年ヨモギ)※独特の匂いに由来。ヨモギ(A. princeps)とは別種。
原産・分布ユーラシア東部原産。各地で帰化。河川敷・道端・空き地など日当たりと水はけの良い場所に多い。
形態の特徴一年草。葉は羽状に細かく裂けレース状。茎は分枝しやや溝が入る。花はごく小さい頭花が房状に下垂。
識別のコツ強い芳香(葉を揉むと顕著)/細裂葉/一年草。多年草のヨモギ類(ヨモギ・オオヨモギなど)と混同注意。

主要成分のめやす

※成分量は部位・収穫時期・乾燥条件で大きく変わります。民間利用時は「個体差が大きい」前提で少量から。

伝統的な利用(要点)

  • 強い香りを活かした防虫・忌避(束ねて吊るす・サシェ)
  • 乾燥葉を布袋に入れる薬草風呂(香りづけ・温浴)
  • 一部地域で苦味のあるハーブティーとして少量利用

医薬品の抗マラリア薬(アルテミシニン製剤)は、本種から抽出・精製した有効成分を規格化したものです。乾燥葉や自家製茶は医薬品の代替にはなりません

採取・下処理・保存

  • 採取:開花前〜蕾期に、若い先端部を選ぶ(香りと成分が乗りやすい)
  • 乾燥:洗浄後、水気を切り、陰干し・通風乾燥。高温直射は香気ロスの原因に。
  • 保存:完全乾燥後、遮光・密閉。精油成分の揮散を防ぐため小分け推奨。
  • 栽培のコツ:日当たり・水はけ良。こぼれ種で増えやすい。播種は春(3–5月)。

使い方の例(ホームユース)

薬草風呂(香り浴)
  1. 乾燥葉 10〜20 g を布袋(だしパック等)に入れる
  2. 湯船に入れて軽く揉み、10–15分浸出させる
  3. 敏感肌の方は短時間・低濃度からテスト

※皮膚刺激を感じたら中止。浴槽の材質によって香りが残る場合があります。

ハーブティー(非常に苦い)
  1. 乾燥葉 1–2 g を熱湯 200 ml
  2. 3–5 分 浸出、茶こしで除く
  3. レモンピール等を併用すると飲みやすい

※アルテミシニンは水に溶けにくく、抽出量は不安定。連用・大量摂取は避けるのが基本。

安全性・注意事項

  • 妊娠・授乳中/小児は使用を避ける(ヨモギ属全般の慣行と同様)。
  • キク科アレルギーのある方は接触・経口ともに注意。
  • 持病・服薬中の方は自己判断での内用を避け、専門家へ相談。 (肝機能への配慮/酵素誘導・相互作用の可能性/抗凝固薬等との併用注意が論じられます)
  • 長期連用は行わず、短期・少量・様子見を徹底。
  • 野外採取は誤同定リスクに注意(似たヨモギ類・帰化種)。必ず複数特徴で同定。

似た種との見分け(簡易)

ヨモギ(A. princeps多年草/葉裏に白い綿毛/芳香は穏やか/食用・草餅に利用されることが多い
ニガヨモギ(A. absinthium多年草/銀緑葉で強苦味/アブサン等の原料で知られるが別種
クソニンジン(本種)一年草/細かく裂けたレース状の葉/強い香り/花は小さく房状に多数

フィールドメモ(実用ヒント)

免責:本ページは食品・園芸・民間活用の一般情報です。疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。健康効果の表現は薬機法順守のため控えめに記載しています。

アルテミシア・アヌアのハーブティー

〜抗酸化と免疫バランスを支える自然の力〜

🌿 材料(1杯分)

🍵 作り方

  1. ポットまたは耐熱カップに、乾燥したアルテミシア・アヌアを入れます。
  2. 熱湯を注ぎ、フタをして約5〜7分蒸らします。
  3. 茶こしで濾し、好みに応じてはちみつやレモン汁を加えます。
  4. 香りを楽しみながら、温かいうちにゆっくり味わってください。

💡 効能と特徴

※アルテミシア・アヌアは苦味が強いため、飲みすぎには注意しましょう。
※妊娠中・授乳中の方や持病のある方は、医師や専門家にご相談ください。

🌿アルテミシア・アヌア(青蒿)健康レシピ集

自然の恵みを活かした、飲み物・料理・発酵の3スタイル。

① アルテミシア・アヌア茶(青蒿ティー)

タイプ飲み物(ハーブティー)
効能のヒント体調バランスを整え、からだを軽やかに保つ。
材料乾燥アルテミシア・アヌア小さじ1、熱湯200ml、レモン汁数滴、はちみつ小さじ1(お好み)
作り方 1. カップまたはポットに乾燥葉を入れる。
2. 熱湯を注ぎ、5〜7分ほど蒸らす。
3. 茶こしで濾し、レモン汁・はちみつを加えて仕上げる。
🌿レモンを加えると香りが際立ち、苦味がやわらぎます。

② 青蒿と野菜のハーブ粥

タイプ料理(滋養系)
効能のヒントからだを温めながら、内側から整える自然の粥。
材料アルテミシア・アヌア(乾燥葉少量)/米0.5合/にんじん・大根・しょうが少々/塩少々
作り方 1. 鍋に米と水(約600ml)を入れ、弱火で煮る。
2. 野菜を加え、柔らかくなるまで煮る。
3. 火を止める直前にアルテミシア葉を加えて、香りを移す。
4. 塩で味を整えて完成。
🍚 薬草の香りが立つため、少量で十分。食後感が軽く整います。

③ アルテミシア発酵ドリンク(酵素風)

タイプ発酵飲料
効能のヒント自然発酵の力で体をめぐらせ、すっきり整える。
材料アルテミシア・アヌア生葉30g、てんさい糖200g、水200ml、レモン1/2個
作り方 1. 清潔なガラス瓶に葉・砂糖・水・レモンを入れる。
2. 1日1回軽くかき混ぜ、常温で3〜5日発酵させる。
3. 泡が出て香りが爽やかになったら、濾して冷蔵保存。
4. 水や炭酸で3〜4倍に薄めて飲む。
🍋 発酵が進みすぎないよう、香りが変わったら早めに冷蔵へ。

「自然が授けた爽やかな一滴。からだを内から整える、アルテミシア・アヌアの力。」