要点
📋「成分レンジ」は文献値・一般的抽出率・発酵変化の目安を組み合わせた推定レンジです。実際はHPLC等の実測で必ず確認してください。
👇ページ下部に「成分推定式」および「補正係数」を示しています。
第1部:12レシピ一覧(四季 × 3タイプ)
| 季節 | タイプ | レシピ名 | 主要野草 | 発酵ベース | 期間(目安) |
| 春 | デトックス | 春のヨモギスギナ酵素 | ヨモギ・スギナ | 酵素/甜菜糖 | 48h |
| 春 | 集中 | 春のカキドオシ酵素ブレンド | カキドオシ・イラクサ | 酵素/甜菜糖 | 72h |
| 春 | 回復 | 春のタンポポ甘酒ブリュー | タンポポ根・ヨモギ | 甘酒(麹) | 48–60h |
| 夏 | デトックス | 夏のスベリヒユ乳酸 | スベリヒユ・ドクダミ | 乳酸発酵(塩) | 48h |
| 夏 | 集中 | 夏のイラクサ集中液 | イラクサ・カキドオシ | 酵素/天然酵母 | 72h |
| 夏 | 回復 | 夏のクズ根リカバリー | クズ根・ミント | 甘酒
or 蜂蜜 | 24–48h |
| 秋 | デトックス | 秋のイタドリ浄化液 | イタドリ・ドクダミ | 乳酸 or
酵素 | 4–7日 |
| 秋 | 集中 | 秋のタンポポ根甘麹 | タンポポ根・カキドオシ | 甘酒 | 48–72h |
| 秋 | 回復 | 秋の葛葉栄養エキス | 葛の葉・オオバコ | 麹ベース低温熟成 | 2–4週 |
| 冬 | デトックス | 冬のヨモギ温養液 | ヨモギ・スギナ | 蜂蜜発酵 | 7–14日 |
| 冬 | 集中 | 冬のカラムシ根コア | カラムシ・カキドオシ | 酵素+酵母 | 48–72h |
| 冬 | 回復 | 冬の根草滋養酒 | アカネ・葛根 | 蜂蜜 or
甘酒低温熟成 | 2–6週 |
表は一覧。下に各レシピごとの成分レンジと家庭/研究の詳細を続けます。
第2部:成分レンジ表(100mlあたり・推定)
👇以下は「短期(24–72h)/中期(4–10日)/長期(2–8週)」の各条件下での推定レンジです。数値は推定値(文献値+抽出率+発酵変化)です。
| 成分 |
短期(24–72h) |
中期(4–10日) |
長期(2–8週) |
平均(目安) |
| ビタミンB1 (mg) | 0.02 – 0.06 | 0.04 –
0.10 | 0.06 – 0.14 | 0.07 |
| ビタミンB2 (mg) | 0.01 – 0.05 | 0.03 –
0.09 | 0.05 – 0.12 | 0.06 |
| ビタミンB6 (mg) | 0.02 – 0.07 | 0.04 –
0.12 | 0.07 – 0.16 | 0.08 |
| ビタミンC (mg) | 1.0 – 4.0 | 3.0 –
8.0 | 2.0 – 6.0 | 4.0 |
| 総ポリフェノール(mg GAE 相当) | 20 – 80 | 50 –
140 | 80 – 220 | 120 |
| クロロフィル(mg) | 0.8 – 2.5 | 0.6 –
2.0 | 0.4 – 1.5 | 1.4 |
| アミノ酸総量(mg) | 10 – 35 | 30 –
80 | 60 – 150 | 70 |
| 有機酸合計(乳酸・酢酸等 mg) | 10 – 45 | 50 –
140 | 90 – 220 | 120 |
| 糖分残量(°Brix) | 6 – 9 | 3 – 7 | 1 –
3 | 4 |
| pH(目安) | ~5.5 – 4.5 | ~4.5 –
3.8 | ~3.8 – 3.4 | — |
注:☝️上記は「混合的な野草配合(葉+根+甘味源)」を想定した総合レンジです。個別レシピでは原料比率により下限・上限が変動します(以下、各レシピごとに詳細レンジを掲載)。
第3部:各レシピごとの推定成分レンジ(100mlあたり)
👇下は各レシピの「短期/中期/長期」に対応した推定レンジです。数式は下部「推定ロジック」にまとめています。
春:春のヨモギスギナ酵素(デトックス)
ベース:酵素(甜菜糖) / 期間目安:48h
春
主要原料(投入目安):乾燥ヨモギ 10 g / 乾燥スギナ
8 g / 甜菜糖 150 g / 水 800 ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| ビタミンC (mg) | 2.0 – 4.0 | 4.0 –
7.0 | 2.5 – 5.0 |
| 総ポリフェノール (mg) | 25 – 70 | 60 –
120 | 80 – 180 |
| クロロフィル (mg) | 1.2 – 2.8 | 1.0 –
2.2 | 0.6 – 1.6 |
| アミノ酸総量 (mg) | 12 – 30 | 28 –
70 | 60 – 140 |
| 有機酸 (mg) | 8 – 30 | 40 – 100 | 80 –
180 |
| 糖度 (°Brix) | 6 – 9 | 3 – 6 | 1 –
3 |
| pH | ~5.3 – 4.6 | ~4.6 – 3.9 | ~3.9
– 3.5 |
家庭メモ:甜菜糖はミネラルを残して発酵が進み、味にコクが出ます。発泡が強い場合は冷蔵で止めてください。
春:春のカキドオシ酵素ブレンド(集中)
期間:72h / ベース:酵素(甜菜糖)
春
原料例:乾燥カキドオシ 8 g / イラクサ 6 g / 甜菜糖 180 g / 水 700
ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| ビタミンB群
(mg) | 0.02–0.06 | 0.05–0.10 | 0.07–0.14 |
| 総ポリフェノール
(mg) | 20–70 | 50–120 | 70–160 |
| アミノ酸
(mg) | 10–28 | 25–60 | 50–120 |
| 有機酸
(mg) | 10–35 | 40–110 | 80–190 |
| 糖度 (°Brix) | 7–9 | 4–6 | 1–3 |
| pH | ~5.4–4.7 | ~4.6–3.9 | ~3.9–3.4 |
家庭メモ:レモン皮(少量)で香りを引き締めると集中用に飲みやすくなります(自然風味派は省略可)。
春:春のタンポポ甘酒ブリュー(回復)
期間:48–60h / ベース:甘酒(麹)
春
原料例:乾燥タンポポ根 10 g / 米麹 100 g / 水 400–500
ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| ビタミンB群 | 0.03–0.08 | 0.06–0.12 | 0.08–0.16 |
| イヌリン(可溶性繊維
mg) | 200–600 | 400–900 | 500–1000 |
| 総ポリフェノール | 15–50 | 40–100 | 70–160 |
| アミノ酸 | 20–45 | 40–90 | 80–160 |
| 糖度
(°Brix) | 8–12 | 6–9 | 3–5 |
| pH | ~5.6–4.9 | ~4.8–4.0 | ~4.0–3.6 |
家庭メモ:甘酒ベースは飲みやすく栄養補給に優れるため、回復系に非常にマッチします。
夏:スベリヒユ乳酸(デトックス)
期間:48h / ベース:乳酸発酵(塩)
夏
原料例:スベリヒユ 15 g / ドクダミ 8 g / 水 700 ml / 黒糖 60
g
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| カリウム
(mg) | 60–120 | 80–150 | 80–160 |
| 総ポリフェノール | 25–80 | 60–130 | 90–200 |
| 乳酸(mg) | 8–40 | 60–140 | 100–220 |
| 糖度 | 6–8 | 3–6 | 1–3 |
| pH | ~5.4–4.7 | ~4.6–3.8 | ~3.9–3.4 |
家庭メモ:スベリヒユはミネラル豊富。夏場の電解質補給に良いです。
夏:イラクサ集中液(集中)
期間:72h / ベース:天然酵母 or 酵素
夏
原料例:イラクサ 12 g / カキドオシ 8 g / 甜菜糖 160 g / 水 700
ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| ビタミンB群 | 0.03–0.07 | 0.05–0.12 | 0.08–0.15 |
| 総ポリフェノール | 20–70 | 50–130 | 80–180 |
| アミノ酸 | 12–28 | 30–70 | 60–140 |
| 糖度 | 7–9 | 4–6 | 1–3 |
| pH | ~5.4–4.7 | ~4.6–3.9 | ~3.9–3.4 |
家庭メモ:濃厚なタイプのため希釈して使うと集中時に飲みやすくなります。
夏:クズ根リカバリー(回復)
期間:24–48h / ベース:甘酒 or 蜂蜜
夏
原料例:クズ根粉 20 g / 米麹甘酒 200 ml / ミント少々
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| アミノ酸 | 20–50 | 40–90 | 80–160 |
| イソフラボン(推定) | 2–6 | 4–10 | 6–14 |
| 総ポリフェノール | 15–45 | 35–90 | 60–150 |
| 糖度 | 6–10 | 4–7 | 2–4 |
| pH | ~5.8–4.8 | ~4.8–4.0 | ~4.0–3.6 |
家庭メモ:運動後は冷やして飲むと回復感が得やすいです。
秋:イタドリ浄化液(デトックス)
期間:4–7日 / ベース:乳酸 or 酵素
秋
原料例:イタドリ 15 g / ドクダミ 8 g / 水 800 ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| 総ポリフェノール | 20–60 | 50–120 | 90–200 |
| 有機酸 | 10–40 | 50–120 | 100–220 |
| ミネラル(例:K) | 40–90 | 60–140 | 70–160 |
| 糖度 | 6–9 | 3–6 | 1–3 |
家庭メモ:秋は根や茎の成分が豊富になるため、イタドリ等は抽出を少し長めにすると効果的です。
秋:タンポポ根甘麹(集中)
期間:48–72h / ベース:甘酒
秋
原料例:タンポポ根 10 g / 米麹 100 g / 水 400 ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| ビタミンB群 | 0.03–0.09 | 0.06–0.14 | 0.08–0.18 |
| イヌリン | 300–700 | 400–900 | 500–1000 |
| 総ポリフェノール | 20–60 | 50–120 | 80–180 |
| アミノ酸 | 18–45 | 36–85 | 70–150 |
家庭メモ:朝の1杯におすすめ。甘酒ベースは保存性が高く、自然な甘みが得られます。
秋:葛葉栄養エキス(回復)
期間:2–4週 / ベース:麹低温熟成
秋
原料例:葛葉 25 g / 米麹 150 g / 水 800 ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| アミノ酸 | 25–60 | 60–130 | 100–220 |
| イソフラボン | 3–8 | 6–15 | 10–24 |
| 総ポリフェノール | 20–60 | 50–120 | 90–200 |
| 糖度 | 6–10 | 3–6 | 1–3 |
研究メモ:低温熟成では旨味成分(ペプチド)が増えやすいので、必ず同一条件で比較試験を行ってください。
冬:ヨモギ温養液(デトックス)
期間:7–14日 / ベース:蜂蜜発酵
冬
原料例:ヨモギ 20 g / スギナ 10 g / 蜂蜜 300 g / 水 700
ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| サポニン
(mg) | 10–25 | 18–35 | 25–50 |
| 総ポリフェノール | 20–70 | 60–140 | 90–200 |
| アルギニン
(mg) | 20–50 | 35–80 | 60–140 |
| 糖度 | 18–30 | 10–18 | 3–8 |
| pH | ~5.8–4.8 | ~4.8–4.0 | ~4.0–3.6 |
家庭メモ:蜂蜜発酵では微量のアルコール生成がある場合があります。子どもや妊婦は注意。
冬:カラムシ根コア(集中)
期間:48–72h / ベース:酵素+酵母
冬
原料例:カラムシ根 15 g / カキドオシ 8 g / 甜菜糖 160 g / 水 700
ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| ビタミンB群 | 0.03–0.08 | 0.06–0.14 | 0.08–0.18 |
| 総ポリフェノール | 25–80 | 60–140 | 90–200 |
| アルギニン
(mg) | 25–50 | 40–90 | 70–150 |
| 糖度 | 7–10 | 4–7 | 1–3 |
| pH | ~5.4–4.6 | ~4.6–3.9 | ~3.9–3.4 |
研究メモ:根系の素材はデンプンやアルギニンが多く、発酵で旨味と滋養成分が増えやすいです。
冬:根草滋養酒(回復)
期間:2–6週 / ベース:甘酒低温熟成 or 蜂蜜
冬
原料例:アカネ 15 g / 葛根 25 g / 米麹 150 g / 水 800
ml
| 成分 | 短期 | 中期 | 長期 |
| アミノ酸 | 30–70 | 70–150 | 120–280 |
| 総ポリフェノール | 25–80 | 60–140 | 100–250 |
| サポニン | 12–28 | 25–60 | 40–100 |
| 糖度 | 8–14 | 5–10 | 2–5 |
| pH | ~5.6–4.9 | ~4.8–4.0 | ~4.0–3.6 |
研究メモ:長期熟成は風味と旨味が飛躍的に高まりますが、保存条件を厳密に管理してください。
第4部:成分推定ロジック(数式と補正係数)
以下は成分レンジを作るための標準モデルです。研究用途では各原料の一次データ(HPLC等)を入力して補正係数を適用してください。
基本式(成分 X の最終 100ml 含有量)
最終量_X (mg/100ml) = [ 原料量 (g) / 100 (g) ] × 原料成分量_X (mg/100g) × 溶出率_E
× 発酵変化F × (100 / V_total_ml)
記号の意味
・原料量 (g):レシピで投入した乾物重量(生葉は含水率を補正)
・原料成分量_X (mg/100g):一次データ(文献・分析値)
・溶出率_E:成分毎の抽出率(例:ポリフェノール 0.6〜0.8, ミネラル 0.7〜0.9)
・発酵変化F:発酵による増減(例:ポリフェノール 1.1〜1.4、クロロフィル 0.85~0.95)
・V_total_ml:抽出後の総液量(例:800 ml)
補正係数(素材別 α)
実材料 A の性質により α_material を掛けます(例:根系の吸着で溶出が悪い場合
α=0.8、葉はα=1.0)。
したがって実務式は:
最終量_X = (原料量/100) × 原料値_X × E × F × (100 / V_total) ×
α_material
計算例(クロロフィル:ヨモギ 10g、原料値 200
mg/100g、E=0.7、F=0.9、V=800ml、α=1.0)
理論総量 = (10/100)*200 = 20 mg → 溶出 = 20×0.7 = 14 mg → 100ml換算 =
14×(100/800)=1.75 mg → 発酵後 = 1.75×0.9 ≈ 1.58 mg/100ml
注:実験で得た実測値を用いて α_material を校正し、モデルの精度を高めてください(例:α =
実測/推定)。
研究メモ:一次データ(原料100gあたりの分析値)を10〜20件集めて中央値を使うと推定のばらつきが減ります。
第5部:参考文献(出発点)
- 日本食品標準成分表(文部科学省 / MEXT) — 食品成分の基礎データ。
- Knez, Đ. et al., "Effect of Fermentation on the Nutritional
Quality..." — 発酵が栄養価に与える影響のレビュー(例:PubMed/PMC)。
- 各種植物化学およびHPLC分析論文(ヨモギ、スギナ、タンポポ、スベリヒユ、カキドオシ 等) — J-STAGE / PubMed
検索が有用。
- 食品発酵学・酵母・乳酸菌に関する総説(学会誌記事、レビュー)
(注)出典はこの資料を作るための出発点です。成分の実測値を得るには各植物の分析論文(HPLC,
GC-MS, AAS, ICP-MS 等)を参照してください。
安全・法的注意(重要)
・本ドキュメントの成分および数値は推定値です。食品表示や販売、治療目的には必ず実測分析(HPLC・AAS等)と安全検査(微生物・重金属・残留農薬)を行ってください。
・妊婦・授乳婦・乳幼児・持病や服薬中の方は使用前に医師に相談してください。
・発酵中のカビや腐敗臭は危険信号です。発生した場合は即廃棄してください。