秋〜冬の野草:発酵・乾燥・防災(五箇山の知恵)

乾燥保存と発酵で作る「常温で長期保存できる草食品」。日常の滋養から災害時の備蓄まで使える実用レシピ集です。

① 秋の発酵保存食(作り置きで備える)

秋に採れる草を使って作る、保存性の高い発酵調味料・常温保存食。火や電気が限られる場合でも使えるレシピを中心に。

・ヨモギ塩麹(万能発酵調味料)
材料:塩麹200g、乾燥ヨモギ粉 小さじ1〜2
  1. 塩麹にヨモギ粉を混ぜ、清潔な瓶に詰める。
  2. 常温で1〜3日置き、軽く混ぜる(発泡があればガス抜き)。
  3. 冷暗所で保存。料理の仕上げや野菜の和え物に。
保存:6か月〜1年(塩麹があるため常温でも安定)
・ドクダミ発酵酢(消毒兼用の万能酢)
材料:乾燥ドクダミ10g、米酢200ml、黒糖 小さじ1
  1. 瓶に材料を入れ、常温で蓋を緩めて3週間ほど発酵。
  2. 濾して瓶に戻し、冷暗所で保存。
用途:酢の物、漬物、傷の洗浄(応急)・除菌用途にも。
・カラムシ発酵クッキー(携帯型栄養食)
材料:米粉50g、乾燥カラムシ粉 小さじ1、甘酒30ml、油 少々
  1. 材料を混ぜ、薄く成型する。
  2. フライパン弱火で両面を焼く(オーブンが無い場合)。
ポイント:常温で数日保存可能。非常時のエネルギー補給に。
・スギナ味噌(ミネラル補給の保存食)
材料:味噌200g、乾燥スギナ粉 小さじ1
  1. 味噌にスギナ粉を混ぜ、瓶に詰める。
  2. 冷暗所で保存し、適宜取り出して使用。
保存:半年〜1年。味噌が保存性を担保します。
発酵のコツ:常温発酵時は清潔な容器とガス抜き(蓋を緩める)を忘れずに。直射日光は避け、温度変化が少ない場所が理想です。

② 冬の乾燥保存草(備蓄用リストと採取・加工法)

冬に備えて秋〜初冬にかけて確保しておくと良い草と、その加工法。

野草採取部位乾燥法粉末化保存目安
ヨモギ蒸して陰干し可(乳鉢orミル)6か月〜1年
カラムシ陰干し/日陰で風通し良く6か月
ドクダミ全草束ねて陰干し1年
スギナ全草風干し→瓶保存1年
タンポポ根薄切り→低温焙煎可(香ばしさ保持)1年
クズ葉天日で短時間→陰干し6か月〜1年
粉末化の手順(簡易)
よく乾かした草を尿素のない乾いたミル(コーヒーミル等)で粉末化。目の細かいふるいで選別し、窒素吸収を防ぐため密封します。
保存の鉄則:湿気を最も嫌います。乾燥剤+紙袋 or ガラス瓶+遮光で長持ち。乾燥が不十分だとカビの原因になります。

③ 五箇山の知恵:雪国の保存術(伝統のヒント)

雪国・五箇山に伝わる保存知識を現代向けに応用。低温・雪下・囲炉裏など、自然を利用する工夫が中心です。

五箇山式 冬支度セット(例)
ヨモギ塩麹、スギナ味噌、ドクダミ酢、乾燥カラムシ粉(各小瓶で保存)。雪室や冷暗所で分散保管。

④ 防災備蓄ポイント(持ち出し・家庭備蓄)

非常時にすぐ使える形で保存するための工夫と、持ち出し用ミニキット。

家庭備蓄(長期)

乾燥野草:ガラス瓶×各30g
発酵調味:塩麹・味噌・酢(各小瓶)
甘酒粉末(エネルギー源)
乾燥剤・密封袋

持ち出し用ミニキット(72時間分)

乾燥草小袋(5種×各5g)
発酵ソース(小瓶)
携帯用湯沸かし器(ガス缶不要の固形燃料想定)
スプーン・紙コップ
使い方メモ:湯さえあれば、乾燥草はお茶・スープ・即席粥に。発酵調味料は抗菌・味付け・栄養補給に役立ちます。

⑤ 各草の具体レシピ(秋〜冬向け)

ヨモギ:甘酒トリートメント
乾燥ヨモギ粉 小さじ1を甘酒100mlに混ぜて一晩置く。朝に飲むと冷え対策と血流改善。乾燥粉は保存しやすく便利。
カラムシ:簡易発酵スナック
カラムシ粉+全粒粉+甘酒でまとめて薄く焼く。携行性が高く、常温で保存しやすい。
ドクダミ:浄化スープ(応急)
鍋に乾燥ドクダミと干し野菜・味噌少々を入れて軽く煮る。消毒効果とミネラル補給を両立。
スギナ:シリカブレンド(鉄分補給)
スギナ粉を味噌や甘酒に混ぜて少量ずつ摂取。徐々に体調改善を目指す。
タンポポ根:ローストコーヒー風
薄切りにした根を低温でじっくり焙煎し粉末化。お湯で抽出してノンカフェインの温かい飲み物に。

持ち物チェックリスト(印刷用)